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守護神にサヨナラ②

200810071035000_3”彼”が”彼ら”に
なり、

BAYの両膝には
2人の守護神が
住み着いた。


 

 

1996年製の守護神1号を兄とするならば、
”弟”となる守護神2号はちょうど5年後の2001年製。

5年間に渡って”彼”に右足を守ってもらいながら
滑り続けてきたBAY。

社会人レーサーとなっても、当たり前のように雪上に戻り、
楽しい時間を過ごしていた。

そんなあるとき、自分のミスで健康だった左足を痛めてしまう。

左膝前十字靭帯&内側靭帯の損傷。
幸いにも程度は軽く、手術せずにギプス固定とリハビリで
治すことになったのだが・・・。

何せ社会人。
しかも当時は外回りの多い仕事だったBAY。

周囲には迷惑をかけまくり、
挙句の果てには二次会の幹事と司会を頼まれていた
同期の結婚式にギプス姿で出席、司会をすることに。。。

自分の好きでやっていることで、
結果的に周囲に迷惑を掛けてしまったことが、
何よりもあの時の思い出となって心に残っている。

でも、それでスキーをやめようとは思わなかった。

たぶん、そこには”彼”の存在が大きかったと思う。

一度目のケガから問題なく立ち直り、
そしてむしろケガする前よりもレーサーとして成長できたこと、
結果もきちんど出てくれたこと、
5年経っても思う存分練習できることを経験していること、
それらが、BAYから迷いを奪い去る要因になっていた。

2台目の装具をオーダーする時、迷わず赤を選んだ。

左右で違う色を着けるのがカッコ悪いんじゃないかって思いも
もちろんあったけど、
どこかに兄である守護神1号に対する感謝の思いとか、
”彼”に対するBAYの忠誠心みたいなものがあったのかもしれない。

BAYの周りには、たくさんの装具装着者が居た。
装具をつけて練習や試合に登場する仲間は少なくなかった。

だけど、両足に着けている人は珍しかった。

だから次のシーズンがはじまり、
両足に赤い守護神をまとってゲレンデに登場したときには、
みんなに珍しがられた。
「ターミネーターみたいだね」
{両足、絡まっちゃうんじゃないの?」

 

色んな心配は無用だった。
むしろそこからまた、BAYが好きなように練習をするために
”彼ら”はサポートしてくれた。

初めての国体への切符を手にしたときにも、
その国体で仲間の快挙に立ち会えたときにも、
BAYの両膝には”彼ら”が居た。

スキーを続ける限り、永遠に”彼ら”の世話になるのかな、
そう錯覚するほどに、”彼ら”は雪上でのBAYの一部だった。

まさしく、「一体化」していた。

 

そこからまた、”彼ら”と共に何度も何度も滑った。
そしてある年から、
BAYは”彼ら”無しで滑ることを決意した。

毎年毎年スキーを教えてもらって、練習して、
技術がちょっとずつ向上していくにしたがって、
”彼ら”の存在が物理的に障害になってしまうことがあった。

滑りのトレンドや道具の性能向上といった要因もあった。

スキーをする上での体力がそれなりについていたこともあり、
技術的に”彼ら”なしでもある程度は崩れない自信もあった。

そして何より、”彼ら”と共に滑っている限りでは、
”彼ら”の手助けを得ているレベルを脱し得ない気がしていた。

だから”彼ら”にサポートをしてもらってケガから戻ったことを、
その後も練習を重ねてそれりに成長できたことを、
”彼ら”無しで実証できれば素晴らしいな、と思っていた。

2006年、3度目の国体出場には、
そういった意味でそれまで2回とは違った意義があった。

結婚して初めてのシーズンだったこともそうだし、
仕事の都合でみんなと一緒に練習できない環境だったこともそう、
そして”彼ら”抜きで結果を出せたことが、深い思い出として残る。

国体本戦では全く勝負にならなかったけど、
”彼ら”から卒業することにはなったんじゃないかと思っている。

とは言え、”彼ら”抜きで練習をしていても、試合に出ていても、
”彼ら”はいつもBAYの車に同乗して、同行してくれていた。

「もしも」の時に備えて常に持っていたかったのも正直な思いだし、 
”彼ら”と出会ってから、アルペンレーサーとして技術的に
成長できたという事実も頭から消えなかった。

膝のケガの再発を防ぐという実質的な意味合いだけではなく、
もしかしたらBAYがスキーを続けていた上での、
精神的な”守護神”という存在になっていたのだと思う。

使わないのはわかっているのに、近くに置いておくのが
いつしか当たり前になっていたのだから。

 

今日、彼らとサヨナラをします。

もしもまたスキーを再会して、
万が一膝をケガすることがあったとしたら、
そしてドクターに装具着用を指示されたときには、
BAYは迷わず『赤』を選ぶでしょう。

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